介護のマメ知識
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実務者研修を働きながら効率的に取得するには?ポイントや費用などを解説

「仕事で忙しいけど、これから介護の資格を取って就職・転職したい」
「すでに介護の仕事をしていて、さらにスキルアップしたい」
そう思っている方の中には、働きながら介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)の取得を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実務者研修は介護の基礎知識から医療的ケアまで専門的に学ぶことができ、取得したあとも就職や転職に有利な点がいくつもあります。
この記事では、以下の疑問について解説します。
・働きながら実務者研修は取得できる?
・研修では何を学ぶ?いくらかかる?期間は?
・資格を取るとどんなメリットがある?
・お得に受講できる方法はある?
忙しい方でも資格を取得し、より良いキャリアを手にすることができるよう参考にしていただければ幸いです。
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目次
働きながら実務者研修を取得することはできる?
「実務者研修にどんなカリキュラムがあるかわからないけれど、本当に働きながら取得することができるのだろうか?」「仕事が忙しいなかで、通学も大変そう・・・」
そんな風に不安や疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
結論からいうと、実務者研修は働きながらでも取得できます。
なぜ、それが可能なのか?ここでは、その理由を解説していきます。
働きながら実務者研修を取得できる理由
実務者研修が働きながらでも取得できる理由は以下のとおりです。
- 自分に合ったコースを選べる
- 保有資格によっては免除される科目があり、受講期間が短縮できる
- 取得の難易度が低い
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
通信講座を利用できる
実務者研修には「通信コース」と「通学コース」があります。
カリキュラムは決められているため、どちらのコースを受講しても内容や教材は変わりません。ただ、通信コースでも「介護過程Ⅲ」と「医療的ケア」という科目については通学が必要です。
「通信だときめ細かい指導が受けられないのでは?」と心配するかもしれませんが、質問への対応、就職・転職のサポートもしてくれるスクールが多いので安心です。
忙しい中で受講する必要のある方は、通信講座で学ぶと効率的です。
通学が週1回のスクールが多い
実務者研修では、多くのスクールで週1回の通学スケジュールを組んでいます。そのため、仕事のシフトに支障が少ない形で受講することができます。
週1回以外でも、たとえば土日コースであれば平日に仕事が終わって疲れた状態で受講しなくても良い、仕事と勉強を別の日にすることで頭が切り替えられるというメリットもあります。
保有資格によっては免除される科目がある
すでに介護系の資格を保有している場合は受講科目の免除がされ、受講時間を短縮することができます。
保有資格ごとの免除科目数・免除時間数は表のとおりです。
*詳しい科目名は「実務者研修の学習科目」でご説明します。
保有資格 | 免除科目数 | 免除時間数 |
---|---|---|
初任者研修 | 9科目 | 130時間 |
ホームヘルパー1級 | 18科目 | 355時間 |
ホームヘルパー2級 | 8科目 | 130時間 |
ホームヘルパー3級 | 3科目 | 30時間 |
取得難易度が低い
実務者研修は年齢、実務経験、資格などを問わず受講でき、規定のカリキュラムを修了すれば資格を得ることができるので、取得難易度は高くありません。
スクールによっては修了試験を行うところもありますが、これはあくまで「カリキュラムの習熟度」をみるためのものです。
そのため、「介護のことは詳しくないから不安」という方でも安心して受講することができます。
ハローワークの職業訓練は働きながらは難しい
ハローワークの職業訓練は「就職や再就職を目指す人が新しいスキルや資格を取得するための支援制度」です。
訓練受講要件の1つに「雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと」があります。法人などに属して働いている方は雇用保険被保険者となるため、この要件には当てはまりません(アルバイトや短時間勤務など条件によっては働きながらくれんに参加できる場合もあります)。
また、訓練期間中は平日昼間のカリキュラムに出席しなければなりません。さらに、宿題や課題をこなす時間を確保しなければならないことを考えると、ハローワークの職業訓練を働きながら受講するのは難しいといえるでしょう。
実務者研修とは?

働きながら資格取得が可能なことがわかったところで「そもそも実務者研修ってどんな資格か」を解説します。
何をどのくらいの期間で学び、費用面、資格を取得したらどんなメリットがあるかなど、参考にしていただければと思います。
介護系の資格には入門編として「認知症介護基礎研修」や「介護職員初任者研修(以下、初任者研修)」がありますが、さらに専門的に幅広く学ぶのが実務者研修です。
介護の基礎知識・技術だけではなく、介護が必要な人を支えるためにどうしたら良いのか、医療的な知識・技術も学べます。
初任者研修に比べ、より深い内容を学ぶため、受講時間が長く、取得後は介護現場のリーダー的な役割を担うこともできます。
実務者研修の取得にかかる期間
無資格の場合、実務者研修取得までにかかる期間は約6ヶ月です。介護の基礎から学ぶカリキュラムを20科目(450時間)受講すると修了となります。
保有資格によっては受講時間や科目が免除され、たとえば初任者研修を持っていれば9科目の受講免除、130時間の短縮がされるので約3~4ヶ月で修了することができます。
実務者研修の学習科目
実務者研修で学習する科目は表のとおりです。
受講科目 | 受講時間 |
---|---|
人間の尊厳と自立 | 5時間 |
社会の理解Ⅰ | 5時間 |
社会の理解Ⅱ | 30時間 |
介護の基本Ⅰ | 10時間 |
介護の基本Ⅱ | 20時間 |
コミュニケーション技術 | 20時間 |
生活支援技術Ⅰ | 20時間 |
生活支援技術Ⅱ | 30時間 |
介護過程Ⅰ | 20時間 |
介護過程Ⅱ | 25時間 |
介護過程Ⅲ | 45時間 |
発達と老化の理解Ⅰ | 10時間 |
発達と老化の理解Ⅱ | 20時間 |
認知症の理解Ⅰ | 10時間 |
認知症の理解Ⅱ | 20時間 |
障害の理解Ⅰ | 10時間 |
障害の理解Ⅱ | 20時間 |
こころとからだのしくみⅠ | 20時間 |
こころとからだのしくみⅡ | 60時間 |
医療的ケア | 50時間 |
受講時間合計 | 450時間 |
介護職としての心構え、高齢者や障害を持った方の理解、具体的な解除方法などについて学びます。
また、通信コースの場合でも「介護過程Ⅲ」と「医療的ケア演習」は通学が必要です。
通学が必要な科目
▽介護過程Ⅲ
介護過程のⅠとⅡで学んだことをベースに事例を設定し、実際に介護をおこなうシュミレーションを、グループワークも含めて行います(通学日数:6~7日)。
▽医療的ケア
医療的ケアの講義で学ぶなかで「喀痰吸引」と「経管栄養」の実技演習をおこないます(通学日数:2~3日)。
受講費用
実務者研修の受講費用は、スクールによって違います。
また、保有資格によっては受講時間の短縮などがあるため、費用が安くなります。
保有資格 | 受講費用(目安) |
---|---|
無資格 | 10~25万円 |
初任者研修 ホームヘルパー2級 | 10~15万円 |
ホームヘルパー1級 | 5~10万円 |
キャンペーンや割引制度を設けているところもあります。実際の費用については、スクールのホームページなどで確認してみましょう。
実務者研修を取得するメリット
実務者研修を取得すると、以下のメリットがあります。
- 介護福祉士国家試験の受験資格が得られる
- 医療的なケアが身につく
- 給与やスキルを上げる可能性が高まる
- 介護の転職や就職で有利になりやすい
それぞれについて解説します。
介護福祉士国家資格の受験資格を得る
介護系で唯一の国家資格である「介護福祉士」。
福祉系の学校や養成施設を卒業していない場合、介護福祉士国家試験を受験するためには、2つの条件があります。
- 実務者研修を修了している
- 介護の実務経験が3年以上ある(1,095日以上従業し、かつ540日以上従事じている)
実務者研修を受講、修了することで、上記条件の1つを満たすことができます。
喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを学べる
▽喀痰吸引
自力で痰を排出できない方に対して、吸引機を使って痰を取り除く処置
▽経管栄養
口から食事をすることが難しい方に対して、体の外から消化管に通したチューブで流動食を流し込み、栄養をとること。
実務者研修で講義を受けたあと、別途「喀痰吸引等研修」を受講すると、介護スタッフも医療的ケアに携わることができます。
こうしたケアができると介護職として高いスキルを持って、医療的ケアが日常的に必要な方に対しての支援ができ、さらなるスキルアップにつながります。
給与アップやキャリアップの可能性が高まる
介護事業所では「資格手当」「役職手当」を設定しているところも多くあります。実務者研修の資格を取得すると、そうした手当をもらえるようになったり、キャリアアップにつながる可能性が高まります。
具体的には、訪問介護(ホームヘルパー)事業所で「サービス提供責任者(サ責)」という立場になることができます。サ責はヘルパーの派遣コーディネート、教育やフォローを行うリーダー的な存在です。
また、実務経験を積んで介護福祉士やケアマネジャーになればさらに給与が上がることにつながります。
介護スタッフとしても、実務者研修を修了したという熱意が認められてリーダーの役割を与えられることもあるでしょう。
転職・就職に有利
介護業界は慢性的に人手が足りないという課題を抱えています。とはいえ、やはり雇用側としては「資格や熱意のある方」を探しています。実務者研修で真剣に学び資格を取得した人、今後は介護福祉士になる可能性がある人は期待される人財として、転職や就職がしやすくなるでしょう。
介護の仕事は、資格やスキルが上がれば上がるほど良い職場を選べる可能性が高まります。
実務者研修を働きながら取得する時のスクールの選び方

実務者研修のカリキュラム内容はスクールによって違いはありません。ただ、どんなスクールを選ぶかでスムーズに受講できるか否かが分かれます。
ここでは、その選び方を解説します。
通学しやすい教室があるか
自宅から遠い場所のスクールを選ぶと時間のロスになったり、体力も消耗してしまいます。まず「自宅から通いやすいか」「交通ルートはスムーズか(乗り換えなど)」の観点からスクールを選んでみましょう。
地域によっては近くにスクールが無い場合もあるので、そのときは通信中心で検討しても良いかもしれません。
振替制度があるか
実務者研修は数ヶ月にわたり受講するので、途中で体調不良・急な用事で欠席せざるをえないこともあります。
そんなときも、授業を振り替えて受けることができるか、振替は無料か有料かも確認しましょう。
自分のスケジュールに合う日程か
なるべく自分にも周囲(職場、家庭など)にもストレス無く受講するために、自分に合ったスケジュールで受講できるかは大切です。
「週1回からのコース」「土日コース」「夜間コース」など、実務者研修は働きながら受講しやすい設計となっています。
土日コースは「平日は仕事、土日は勉強」と切り替えやすい一方で休みが減るので、どうリラックス時間を持つかがポイントです。
夜間コースは一回の講義時間が短く集中できる一方で、講義日数が多くなる・仕事からの流れで受講するので疲れやすいデメリットもあるので、体調管理に留意しましょう。
実務者研修を取得するときの確認ポイント
実務者研修を受講・取得するにあたり、ポイントを2つ解説します。
- 介護福祉士国家試験を受験予定の人は、いつまでに実務者研修を取得するべきか
- 職場に資格取得の支援制度があるかを確認
これらを確認しておくと、研修の受講時期を把握しやすくなったり、金銭的・時間的な恩恵をうけながら受講できる可能性が高くなります。
介護福祉士国家試験を受験予定の人は取得時期に注意
介護福祉士国家試験を受験したい方は、以下のことに注意しましょう。
- 試験を受験するには「実務者研修修了・実務経験3年」という条件がある
- 試験は毎年1月下旬に実施される(見込みがあれば、試験実施年度の3月31日までに実務経験を満たせば良い)
- 試験が近づくと実務者研修に申し込む人が増え、希望するコースを受講できない場合がある
- 実務者研修の受講と介護福祉士国家試験の勉強が重なると学習のスケジュールが大変
余裕を持ったスケジュールで、早めに実務者研修を取得しておくと、バタバタせずに試験に臨むことができるでしょう。
職場の資格取得支援制度があるか確認
自分が働いている職場に「資格取得を支援する制度」があるかも確認しましょう。
- 受講費用の全額、一部補助
- 試験(準備)のための休暇・・資格取得の勉強や試験当日の特別休暇
- 学習環境の提供・・勤務中に受講できるよう調整したり、教材やインターネット環境を無償で使える、資格取得にかかわる研修の実施など
上記のような制度が職場にあれば、金銭的に安く(または無料で)、集中して受講することができます。
実務者研修をお得に受講する方法
実務者研修は介護職のキャリアアップとしてメリットの多い資格ですが、受講費用をおさえる方法があるか気になる方も多いのではないでしょうか?
ここでは、費用的にお得に受講する制度などをいくつか挙げていきます。
教育訓練給付金制度
「教育訓練給付金制度」は、働く人の能力開発やキャリア形成を支援し、雇用安定と就職の促進を図るために受講費用の一部が支給される制度です。(最初に自己負担しなければならない点にご注意ください)
厚生労働省が指定する教育訓練を修了する必要があり、この制度には3つの種類があります。
種類 | 給付率 | 特徴と目標 |
---|---|---|
専門実践教育訓練 | 最大で受講費用の80% (年間上限64万円) | 中長期的キャリア支援 業務独占資格の取得 |
特定一般教育訓練 | 最大で受講費用の50% (上限25万円) | 速やかな再就職、 早期のキャリア形成 |
一般教育訓練 | 受講費用の20% (上限10万円) | 雇用の安定と 再就職の促進 |
支給要件についてはハローワークで照会すると、給付が受けられるか詳しく調べることができます。
「介護福祉士実務者研修を受講したい」旨をハローワークに伝え、ご自分に合ったコースが受けられるか確認しましょう。
また、専門実践教育訓練適用のスクールもあるのでスクールに確認しましょう。
自治体の資格取得支援制度
資格を取得するために、自治体によっては下記のような制度を設けているところもあります。
- ひとり親の自立支援に対する給付事業
- 短期訓練受講費制度
- 介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度 など
給付や補助の有無、割合は自治体によって異なるので、申請できるものがあるか行政に問い合わせてみましょう。
スクールの割引キャンペーン
受講しやすいように、スクールによっては下記のようなキャンペーンをしていることもあります。
- 期間限定の割引
- 早期申込割引
- 受講料のキャッシュバック
- 友人紹介割引
- 介護職向け割引
- 初任者研修など他の資格受講のセット割引 など
キャンペーンを利用する際は、適用される条件を確認しましょう。
また、安くてもサポート体制が整っていない、口コミに良いことが書いていない、実は記載されていない追加の出費がある・・などを防ぐため、詳細はスクールによく確認するとトラブルを防ぐことができます。
白ゆりグループでも働きながら実務者研修の取得が可能!
白ゆりグループでは、働きながら実務者研修の取得を目指す職員に対しさまざまなサポートを行っています。
提携スクールの受講割引費用あり
白ゆりグループが提携している資格取得学校で受講すると、職員は受講費用の「白ゆり割」を利用できます。
また、提携校は厚生労働省管轄の給付員制度である「専門実践教育訓練給付金」の指定校のため、条件に該当すれば受講費の50~70%の返金もあり、費用を抑えることもできます。
教育訓練給付金の利用をサポート
専門実践教育訓練給付金で費用を抑えられるとはいえ、利用したくても、なかなか調べる時間がなかったり、調べても仕組みが分かりにくかったりします。
そのため、白ゆりグループでは、提携校の申し込みと併せて、利用までのサポートをしています。
通学日のシフトを配慮
働きながら通えるのか心配する理由の一つにスクーリング(通学)があると思います。白ゆりグループは事前に相談をしてもらえれば、通学日は公休のシフトにするなど考慮しています。
実務者研修の取得で給与がアップ
白ゆりグループでは、実務者研修の介護職員に9,000円の資格手当を支給しています。さらに、介護福祉士になると資格手当が20,000円と資格に対する手当を充実させています。介護知識や技術の向上はもちろん、資格取得での給与アップ、介護福祉士国家試験の対策講座を社内で実施するなど、働きながら資格取得をする職員を応援・サポートしています!
まとめ
介護福祉士実務者研修は働きながらでも取得できるように、通信教育や土日・夜間コースなど柔軟なスケジュールを組むことができます。
また、保有資格によって受講期間の短縮・受講科目の免除を受けられる点も魅力です。
資格取得のためにある補助金やサポートの制度を利用すれば、費用面を抑えることも可能です。
これからますます高齢者が増えていく日本において、介護職のニーズは高まる一方です。就職・転職のチャンスが多く、給与やキャリアアップをするために介護福祉士実務者研修の受講を検討してみてはいかがでしょうか?
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