介護のマメ知識
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高齢者との会話に困らない話題とは?会話が弾むポイントやNGネタも紹介

介護の仕事に携わる方の中には、高齢者との会話に苦慮している方は意外と多いのではないでしょうか。年代の違いから共通点を見出せず、話題に困る事や、自分ばかり話してしまうこともあるかもしれません。
この記事では、高齢者との会話が弾むようになる話題の例やポイントなどをご紹介します。
ぜひ参考にしていただけたら幸いです。
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目次
高齢者が好む話題・ネタとは?
長い時間を生きてこられた高齢者は昔の話を好みます。若い頃の記憶は、自分を誇らしく思える輝かしい思い出で溢れているからです。その一つひとつにその人なりの価値観や、大切にしてきたことが含まれています。
私達も、過去に取り組んできたことや、苦しい中でも頑張ってきたことを話す時、その頃の感情まで甦っているのではないでしょうか。
高齢者においても、職員に昔の話をすることで、当時の自分を思い返していることでしょう。
また、職員にとっては普段の関わりでは得られないその方の歴史や考え方を知る機会になります。
これから具体的なテーマについてご紹介します。
現役時代の仕事や育児の話
高齢者の人生の中で、男性であれば仕事、女性であれば家事や育児の割合が最も大きいのではないでしょうか。そのため、たくさんの経験や思い出が詰まっています。利用者様にとっても話のネタが尽きることはありません。
もし職員が子育て世代であれば、子育てのアドバイスをもらうと、利用者様も誰かの役に立てたことの満足感を深めることでしょう。
生まれ育った故郷の話
その方の故郷を話題にするのも良いでしょう。生まれ育った場所は誰にとっても特別なものです。きっと楽しそうに話されることと思います。
現在の住まいと異なる場合は、その地域のお祭りや文化、名産品などを聞くことで、話を広げることも可能です。
もし今と同じ地域だったといても問題ありません。今と昔では景色がずいぶん変わっていることでしょう。
古くからあるお店がいつ頃できたのか、その頃の街並みはどうだったのかなど詳しく聞いてみてはいかがでしょうか。
高齢者の方の子ども時代の話
子どもの頃にどんな遊びをしていたか、どんなものが流行っていたかなど、楽しかった思い出を回想することは、高齢者にとって心の安寧を生みます。
認知症の方でも古い記憶は残っている場合が多く、昔の話になると驚くほどよく話される方もいらっしゃいます。
昔は今ほど遊び道具のなかった時代です。そんな中でも色々と工夫して遊んでいたことを懐かしそうに話してくださることで、きっと楽しい会話が続くことでしょう。
最近の趣味や好きなものの話
普段は無口な方でも、趣味の話になると楽しそうにお話される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
男性であれば釣りや旅行の話、女性であればガーデニングや料理、などが多いと思います。
居室やご自宅に飾っている手作り作品や想いでの写真などから、どのような趣味をお持ちなのかもある程度予測が可能です。
また、その方がよくご覧になるテレビ番組やドラマがあれば話題にしてみましょう。昔好きだった俳優や歌手の話もきっと盛り上がることと思います。
若い職員では、往年のスターについて詳しくないかもしれません。事前に調べてもいいですが、ご本人に教えていただくことでも会話が弾むことでしょう。
ご利用者様がどんなことに興味を持たれているかは、普段のケアにも活かせる重要な情報でもあります。
会話に困ったときにおすすめの話題

利用者様のことをあまり知らなかったり、まだ関係が浅い時には、趣味のことや子どもの頃のことを質問するのは、少し踏み込み過ぎの場合もあるかもしれません。そのようなときでも対応できる比較的軽い話題もご紹介します。
どの利用者様にも共通して話すことができるため、覚えておくと便利です。
雑談の合間に挿入しても不自然にならないため、少し会話がつまりそうな時にもご利用いただけると思います。
天気についての話題
世界的に見て、頻繁に天気の話をするのは日本人だけと言われています。
農耕が主体の国民性も関係しますが、天気の話は古くから繰り返されてきたいわば鉄板のネタと言っても過言ではありません。
ただし、今日が晴れか雨かだけで終わるのではなく、「晴れたらどこか行きたいところはありますか?」「もうすぐ桜が見頃になりますね」など、会話のきっかけに使ったり、趣味や天候に関連した季節の話題に移行したりして話を広げましょう。
その日のレクや季節の行事に関する話題
介護施設やデイサービスであれば、レクリエーションの時間が設けられていることも多いと思います。その日のレクリエーションを話題にするのも良いでしょう。「今日は大活躍でしたね」などと話しかけ、好きなことや得意なことを聞くきっかけにもできます。
普段のレクリエーションが多くない施設の場合は、節分や七夕、地元の夏祭りなど、季節に関連した行事を話題にしても良いでしょう。昔は盆踊りも踊っていたことなどを聞き取り、「今度一緒に踊りましょう」などレクリエーションの参加につなげることもできます。
テレビやニュースの話題
お昼のニュースやテレビ番組も話のネタの一つです。その際は、なるべく明るい話題を選ぶことをおすすめします。
また、利用者様が普段観ているテレビ番組があれば、それを話題にしてもいいでしょう。毎週欠かさず観ているドラマの話などはきっと盛り上がります。
食事や料理に関する話題
その日の食事メニューを話題にすることはごく自然なことですので、どなたにも話しかけやすいテーマではないでしょうか。
そこから好きな食べ物や味つけの好みを聞いたり、料理がお好きな方に関しては得意料理を聞いたり、料理の相談をしたりと話を広げやすいのも利点です。特に、何かを相談されるということは、自分が信頼を受けている証でもあります。高齢者にとっても自身を深めることになるでしょう。
高齢者の方との会話で避けるべき話題
高齢者の方に対して、こちらから話題にするのは避けた方が良いものもあるのでご紹介します。
以下の内容に関しては、利用者様の方から話題にしてきた場合は、しっかり傾聴することで普段心の内に秘めていた不安や悩みの解消につながりますが、 職員の方から話題にするのは避けるようにしましょう。
病気や死に関する話題
高齢者の方は、病気や死の存在を身近に感じていらっしゃいます。有名人が亡くなったニュースや、ガンといった重病については、職員から話題にすることは避けた方が良いでしょう。職員は何気なく話したつもりでも、相手が必要以上に気にしてしまい、不眠や不安を引き起こす原因にもなりかねません。
長生きをされている方にとってはご自身の死だけでなく、仲の良かった友人や兄弟との死別なども思い返され、心が不安定になりやすく注意が必要です。
利用者様の方から話題にしてきた時以外は控えるようにしましょう。
他の利用者様の話題
「〇〇さん(他の利用者様)はいつもこんなことをするのよ」などと話題にするのは良くありません。その利用者様だけに言ったとしても、後々色々なところに話が回ってご本人に伝わってしまい、信頼関係を崩すことにつながります。
また、他の利用者様の話をしているということは、他の誰かに自分の話をされているかもしれないと不安にさせることにもなります。
原則として、守秘義務のある介護職員は、他の利用者様の個人情報となることを話してはいけません。
利用者様の方から他の利用者様のうわさ話や悪口に同調してしまうのも、後々ご本人に伝わってしまう可能性があるため、軽く流すようにして会話に乗らないようにしましょう。
利用者様のご家族の話題
普段の会話では、職員の方からご家族様のことを話題に出すのも避けたほうが良いでしょう。表面上は問題がないように見えても、実際には不仲であったり、悩みを抱えていたりすることもあります。
施設であれば、「家族に嫌々入居させられた」という思いを密かに持たれている場合もあります。
利用者様から話し出された時以外は避けておくのが無難です。
前日の出来事の話題
認知症の高齢者の中には、通常の会話は不自由なく行えるものの、短期記憶の保持が難しい方もいらっしゃいます。そういった方には、昨日のことや数日前の出来事を話す場合、注意が必要です。
「この前はこうおっしゃってましたね」と話すと、記憶のないご本人様は不安を感じることになるかもしれません。 認知症の方との会話では、前回話した内容を覚えていない前提で話すことが大切です。
高齢者の方と会話が弾むためのポイント
話題は悪くなくても、会話の仕方によっては話が弾まずに気まずくなってしまうこともあります。
ここでは、高齢者に限らず、普段の会話でも利用できる会話のコツをご紹介します。
会話の仕方や表情を意識する
会話において、 言葉以上に大切にしなければならないことは、表情や声のトーン、視線、仕草などの非言語コミュニケーションです。メラビアンの法則によると、これらは人の印象を決定付ける上で言葉以上に大きな要因として働くとされています。
具体的には、目線の高さを合わせることや、笑顔での対応、相手の話に適度に相槌を打つことなどを意識して傾聴することです。これらの非言語コミュニケーションを活用することで、利用者様も話しやすく、会話が盛り上がりやすくなります。
否定しない
高齢者と職員では、生まれた時代も育った環境も大きく異なるため、時には意見が合わないこともあるでしょう。例えば、現在では死語となっていますが、昔は「男子厨房に入らず」ということわざがあったほど、男性は家事をしないもの、育児は女性がするものなど、高齢者と職員とは異なる時代背景の中で過ごしてきています。
しかし、時代が変わったからといってすべての人が考えを変えているわけではありません。そればかりか、元々の性格もお一人おひとり違います。
利用者様の意見に同意できないこともあると思いますが、否定するのではなく、考え方やその方の背景から尊重する姿勢が望まれます。
また、高齢になると、同じ話を繰り返すこともありますが、「前に聞きましたよ」などと否定せず、傾聴するようにしましょう。
高齢者の方が喜ぶ言葉を把握しておく
会話をスムーズに行うためには、 利用者様が言われると嬉しい言葉を理解しておくことも大切です。
私たちにとって人生の大先輩である高齢者の方々は、長年の経験を活かして若い職員の役に立ちたいと思っていらっしゃいます。「助かりました。ありがとうございます」「参考にさせてください」「教えていただけますか?」などと言われると、誰かの役に立てたことを誇らしく思われることでしょう。
他にも、「お上手ですね」「よくお似合いです」「とてもきれいにできましたね」「勉強になります」のように、自分を認めてくれる言葉は、高齢者にとっても嬉しいものです。
このような言葉は、ただ心の中で思っているだけでは伝わりません。ぜひ言葉として高齢者に届けてください。
まとめ
年の離れた高齢者との会話は、普段以上に気を使うこともあるでしょう。また気をつけないといけないポイントもあります。
しかし、職員が親身になって高齢者の方の話に耳を傾けることや、お互いを知ろうとする姿勢、関心や興味をもって関わり合う行動の積み重ねが、信頼関係の構築につながります。そうした関わりによって、「自分の考えや気持ちを理解してくれている」という安心感や、「一緒に過ごす時間が楽しみだ」という思いが生まれ、双方の心のゆとりが育まれます。
介護職員にとっても、誰かの幸せに関わることのできる大切な機会ではないでしょうか。時間を共にして、利用者様と楽しく会話し、楽しい思い出を作っていただくために、この記事が参考になれば幸いです。
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白ゆり介護メディア編集部
いかに白ゆりの魅力を伝えるかを常日頃考えている介護メディア担当です。
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