初任者研修と実務者研修の違いは？どちらを受けるべき？わかりやすく解説！

初任者研修・実務者研修とは

初任者研修・実務者研修とは、介護の知識や技術を学ぶための研修で、国家資格ではありませんが、介護現場で役立つ資格です。

どちらの研修も、学歴、年齢、資格、経験の有無に関わらず、無資格・未経験から受講可能です。

ここでは、それぞれの資格の内容や特徴などについてみていきましょう。

初任者研修とは

初任者研修とは、2013年にホームヘルパー2級から移行された資格で、正式名称を「介護職員初任者研修」といいます。

介護職を目指す方にとって、身体介護や生活援助などの介護の基礎知識やスキルを学ぶ最初のステップとなる介護の入門資格です。

経験や資格がない方でも理解しやすいように、丁寧な講座内容が組まれていますので、講義と演習を通して介護現場で必要とされる知識やスキルを習得できます。
初任者研修を修了することで、介護施設で活躍できる実践力を養うだけでなく、訪問介護員（ホームヘルパー）として働くことも可能になります。

実務者研修とは

実務者研修は、2013年にホームヘルパー1級から移行された資格で「介護福祉士実務者研修」が正式名称です。

初任者研修の１ステップ上の研修に位置づけられ、介護の専門的な知識や技術をより深く学びます。

医療的ケア（たん吸引・経管栄養）、介護課程の展開など実務に役立つ技術を習得し、介護のプロフェッショナルとして活躍するための第一歩となる資格です。

介護福祉士国家試験の受験資格や、訪問介護事業所で活躍するサービス提供責任者の資格要件にもなっているため、介護福祉士やサービス提供責任者を目指す方にとって、欠かせないキャリアアップ資格といえるでしょう。

初任者研修と実務者研修の違い

ここでは、初任者研修と実務者研修で、それぞれ何が違うのか詳しく説明します。

介護福祉士の受験資格の有無

初任者研修と実務者研修の大きな違いの一つに、国家資格である介護福祉士の国家試験の受験資格が得られるかどうかがあります。
2017年より介護福祉士の受験資格に実務者研修の修了が必須となったため、実務者研修取得は介護福祉士により早く近づく一歩といえるでしょう。

一方で初任者研修は、入門資格であるため介護福祉士の受験資格には入っていません。
初任者研修を修了した方の場合、受験資格を得るには実務経験（3年以上）に加え、実務者研修（免除の130時間を除き320時間）の受講が必要です。

先に初任者研修を修了してから実務者研修、介護福祉士と段階的なスキルアップもできますが、介護福祉士の受験前に改めて実務者研修の受講が必要となるため、学習時間や費用の負担がかかる場合があります。

将来的に介護福祉士の資格取得を目指している方や、短期間でキャリアップを目指したい方の場合、最初から実務者研修の受講を選ぶのも選択肢の一つです。

受講科目数と受講期間

初任者研修と実務者研修では、受講科目数と受講期間のほか、修了までの平均時間が異なります。

【初任者研修】

初任者研修は以下のとおり、受講科目9科目、受講時間数130時間です。
受講期間は、スクールやコースによって異なりますが1ヶ月～4ヶ月程度です。

【実務者研修】

次に実務者研修の受講科目と受講時間数、初任者研修との共通科目をみていきましょう。

実務者研修は以下のとおり、受講科目20科目、受講時間数450時間で、初任者研修を修了した方の場合、共通科目（9科目130時間）が免除されます。

実務者研修の受講期間の目安は、お持ちの資格やスクールで異なりますが、無資格の場合は6ヶ月程度、初任者研修の修了者の場合は2ヶ月程度です。

※50時間の研修とともに演習が必要

参照：厚生労働省　介護員養成研修の取扱細則について

参照：厚生労働省　実務者研修の指定基準について

受講費用

初任者研修・実務者研修の費用は、受講するスクールや保有資格、地域などによって異なりますが、初任者研修3～8万円、実務者研修5～15万円が平均的な費用です。

費用を抑えて受講したい方は、受講費用の一部が返ってくる教育訓練給付制度の対象になっているスクールで学ぶのがオススメです。

教育訓練給付制度は、厚生労働大臣が指定する教育訓練（初任者研修・実務者研修を含む）を修了した場合、受講費用の一部が支給される制度です。

初任者研修は、特定一般教育訓練・一般教育訓練、実務者研修は、専門実践教育訓練・特定一般教育訓練・一般教育訓練に該当します。

それぞれの教育訓練給付金は以下のとおりです。

・専門実践教育訓練：最大で受講費用の80％（年間上限64万円）
・特定一般教育訓練：最大で受講費用の50％（年間上限25万円）
・一般教育訓練：受講費用の20％（上限10万円）

教育訓練給付を受給するには、雇用保険の加入期間など一定の条件がありますので、受給申請を検討する際は、管轄のハローワークへお問合せください。

参照：厚生労働省　教育訓練給付制度

参照：厚生労働省　教育訓練給付制度のご案内

受講のメリットとデメリット

ここでは、初任者研修と実務者研修を受講するメリットとデメリットについてみていきましょう。

上記に加え、どちらの資格を取得した場合でも、就職や転職に有利、資格手当がつく場合がある、家族の介護に役立つなどのメリットもあります。
有効期限や更新の必要もないので、一度取得すれば一生使えるキャリアアップ資格といえるでしょう。

初任者研修と実務者研修、どちらを受けるべき？

初任者研修と実務者研修、どちらを受講すべきか悩んでいる方は多いのではないでしょうか？
ご自身の状況やキャリアプランによって、どちらの研修が向いているか異なります。

初任者研修を受けずに実務者研修は受けられる？

結論からいうと、初任者研修を受けていない方でも、実務者研修の受講は可能です。
初任者研修と実務者研修はどちらも、受講に必要な条件がなく、学歴や年齢、資格、経験の有無に関わらず、無資格・未経験から誰でも挑戦できる資格です。

無資格や認知症介護基礎研修から実務者研修を受講した場合、初任者研修を受講する手間と時間が省けるため、より早く介護現場で活躍することができるでしょう。

また、初任者研修と実務者研修をセットで受講できるスクールもあり、基礎から応用へとスムーズに学習を進めることができます。
介護の基礎知識から応用技術までを体系的に学習できるため、知識や技術の定着が図りやすいことがメリットです。

▶ 関連記事「 実務者研修を働きながら効率的に取得するには？ポイントや費用などを解説 」

こんな方には初任者研修の受講がオススメ

初任者研修は、介護の世界を知り、介護観を養うことができます。
介護未経験者の方や基本的な知識を学びたい方、早く資格が欲しい方は、初任者研修がおすすめです。
また、受講時間が130時間と短く、費用も抑えられるため、資格の費用を抑えて早く資格を取得し働きたい方も初任者研修が向いているといえるでしょう。

こんな方には実務者研修の受講がオススメ

介護職経験のある方や将来的に介護福祉士の資格を取得したい方、早くキャリアアップをしたい方には、実務者研修がおすすめです。

実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験資格やサービス提供責任者として働くための要件も満たしていますので、キャリアアップの最短ルートといえるでしょう。

参照：訪問介護におけるサービス提供責任者について

受講を一度で済ませられるため、費用や受講時間の負担を抑えることもできるでしょう。

また、職場によって異なりますが、資格手当として5,000円～10,000円ほど毎月のお給料に上乗せされる場合があります。
そのため、勤務先によっては数ヶ月で受講にかかった費用分の収入を得ることも可能です。
実務者研修の費用は高額になるため、費用面で受講を迷っている方は、希望する職場の資格手当について確認してみてください。

まとめ

初任者研修と実務者研修の受講内容や費用、違いなどを詳しく説明しました。

近年、介護人材の需要が高まっており、介護の仕事は将来性や安定性もある仕事です。
「人の役に立ちたい」「誰かの笑顔が見たい」方にとって、やりがいのある仕事といえます。

とはいえ、無資格・未経験で介護業界に転職しようと考えている方や経験が浅い方にとっては不安も大きいでしょう。
しかし、初任者研修や実務者研修で学ぶことで実践的なスキルを身につけ、自信をもって働くことができます。
白ゆりグループでは、実務者研修の受講費を全額負担(※規定あり)するなどの資格取得支援制度を設けています。
費用の負担を抑えながらスキルアップを目指したい方は、ぜひ一度チェックしてみてください。
ぜひこの記事を参考にしていただき、あなたに合った研修を選び、誰かの笑顔を支える仕事にチャレンジしてみませんか？