介護のマメ知識
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介護士ができない医療行為は?できること・できないことを詳しく解説

介護の現場でケアをしていると、「これって医療行為では?」「介護士はできないのでは?」と判断に迷ってしまうこともあると思います。
医療と介護は密接に関係しているため、介護士は何ができて何ができないのか、境界線がわかりにくいと感じられるでしょう。
この記事では、介護士にできない医療行為、介護士にもできる医療的ケア、条件付きでできる医療行為などについてわかりやすく解説します。
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目次
医療行為とは
医療行為とは、医師法の規定によって医師や歯科医師、看護師などの医療従事者のみが業務として行うことができるものを指します。
しかし、湿布の貼付や軟膏の塗布など、医療行為に準ずるケアは介護の現場にも必要不可欠です。
そのため、2005年と2022年に「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」が厚生労働省によって通知され、医療行為の一部を「医療的ケア」とし、介護職員も行ってよいものとなりました。
これによって医療行為は次の3つに整理できます。
・介護士ができないもの
・医療的ケアとして実施可能なもの(条件つきもあり)
・特定の研修によって実施が認められるもの
介護士ができない医療行為
介護と関わりの深い医療行為として代表的なものを紹介します。以下の行為は医療従事者しか行えないので注意しましょう。
褥瘡(床ずれ)の処置
褥瘡は、寝たきりの高齢者に発生しやすい疾患です。身体の一部に長時間圧力がかかることによって、その箇所の組織が壊死してしまい、皮膚の剥離や皮膚のただれ(潰瘍)を引き起こします。
褥瘡の処置には、その深さや感染の有無など、専門的な観察が必要です。処置の際も、周囲の皮膚を傷つけたり、感染リスクを高めたりしないように、医学的な知識と判断が求められます。
そのため、介護士が行うことのできない医療行為とされています。
インスリンの注射
インスリン注射や血糖測定は、糖尿病患者の血糖コントロールに欠かせないものです。しかし、専門的な知識が必要になるため、医師や看護師、利用者様ご本人やご家族のみが実施できます。
投与の量や方法を間違えると、重篤な低血糖や高血糖を引き起こす可能性があります。
ただし、利用者様がインスリン注射や血糖測定を忘れないように声掛けしたり、見守りを行ったりすることは介護士でも可能です。
摘便
摘便は、自力では腹圧をかけられず排便ができなくなった方や、便が硬く排便できないときに、肛門から直腸に指を入れて便を排出させる行為です。
誤った方法で行うと、直腸壁を傷つけてしまうことにもなりかねません。
もしも腸壁に穴を開けること(直腸穿孔)になってしまうと、腹膜炎などを引き起こす可能性があり、場合によっては命に関わることもあります。
そのため、医師や看護師などの医療従事者のみ行うことができ、介護士が実施することは認められていません。
介護士ができる医療行為
医療行為を介護士が行うことは、医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法によって禁止されていますが、一部のものについては「医療的ケア」とみなされ、介護士でも行えるもの、条件付きで認められるものもあります。
実際のケアの現場でも用いられる行為ですので、しっかり覚えておきましょう。
「医療的ケア」と解釈され介護士も行える行為
厚生労働省の通知により、一部の医療行為は法律上の医療行為にはあたらず、「医療的ケア」と解釈されるようになりました。
介護士が行うことを認められている代表的な医療的ケアは以下です。
・水銀式、電子式体温計による腋窩または外耳道での体温測定
・自動血圧計を用いた血圧測定
・パルスオキシメーターの使用
・一包化された内服薬の服薬介助
・湿布の貼付や軟膏の塗布、目薬の点眼、座薬の挿入、鼻腔粘膜への薬剤噴霧
・軽いやけどや傷などの専門的な判断や技術を必要としない処置
条件付きで介護士も行える医療行為
一部の医療行為は、介護における日常的なケアとして、条件付きで介護士による実施が認められています。
主な例は以下の通りです。いずれも病状が安定し、専門的な技術や管理を要さないことが前提です。
・耳垢塞栓以外の耳垢除去
・糖尿病等の基礎疾患がなく、爪やその周辺に化膿や炎症、その他異常が認められない方の爪切り
・重度の歯周病などの異常がない方の口腔ケア
・カテーテルの準備や体位の保持
・ストーマの交換を伴わないパウチ内の排泄物の処理
・市販のディスポーザブルグリセリン浣腸(挿入部6cm以内、濃度50%以内)の使用
・蓄尿バック内の尿の破棄
特定の研修の受講で行うことができる医療行為
医療的ケアに含まれる医療行為の中で、「喀痰吸引」と「経管栄養」に関しては「喀痰吸引等研修」を受けた介護士のみが行えます。
基本研修と実地研修の両方の受講が必要ですが、2017年度以降に介護福祉士の資格を取得した人は基本研修が免除され、実地研修のみの受講となります。
ただし、医療職と介護職が連携をとっていること、利用者様ご本人やご家族の同意を得ていること、登録特定行為事業者の認定を受けている職場での業務に限定されることが条件です。
喀痰吸引
吸引器によって、口腔内に貯留する痰や唾液を除去する方法です。痰を自力で出せず、喉でゴロゴロと音が鳴るほど貯留している状態は、誤嚥による肺炎や、窒息の危険性があります。
これを防ぐためには、定期的な喀痰の吸引が必要です。喀痰吸引等研修によって、口腔または鼻腔からの吸引が介護士にも認められ、高齢者や障がい者(児)の施設などで実施することができます。
経管栄養
口から食事を摂取できない方や誤嚥のリスクが高い方に、チューブやカテーテルを使って胃や腸に直接栄養や水分を送り込む行為を「経管栄養」といいます。
経管栄養には「胃ろう」や「腸ろう」、「経鼻経管栄養」などがあり、通常は医師や看護師にしか行えません。正しい注入方法や安全管理の知識が必要なため、介護士が行うためには研修の受講が必要です。
参考:
2005年 厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(通知)
2022年 厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(その2)
介護士が医療行為を行うときのポイント

医療行為と疾患に関する正しい知識と判断が介護の現場には必要です。ここでは、介護士がケアを実践していく中での大切なポイントについて解説します。
介護士ができる医療行為の範囲を把握する
条件付きで認められている医療行為については、どの範囲まで介護士が行えるのかを把握しておく必要があります。
たとえば、意図せずストーマのパウチがはがれてしまったときも、介護士が新しいものを貼り付けることなどは禁止されています。
夜間は看護師がいない場合も多く、対応に苦慮することもあるかと思いますが、勝手な判断で行わないようにしましょう。
迷ったら看護師や医師に相談する
介護士ができない医療行為にあたるかどうかの判断が難しい場合は、必ず医師や看護師に相談するようにしましょう。
摘便や吸引は誤った方法で行うと、利用者様のお身体を傷つける可能性があり、最悪の場合、命に関わるおそれもあります。
医師法違反として、罰則の対象になる可能性もあるため、医療従事者に確認することが大切です。
必要な医療の知識を身に付けておく
高齢者の疾患に関する知識を身に付けておくことで、医療行為にあたるかどうかを判断しやすくなります。
たとえば、爪の周辺の化膿や炎症を見分ける知識があれば、専門的な処置が必要となる程度を判断でき、医師や看護師に的確な報告や相談が行えるようになります。これによって、現場での迅速な対応にもつながることでしょう。
まとめ
体温や血圧の測定、服薬介助などの日常的ケアは介護職員でも行えますが、インスリン注射や摘便といったリスクの高い行為は医療行為とされ、看護師などの医療従事者にしか行えません。
介護の現場では、法律上認められているケアと、認められていない医療行為をしっかりと区別し、適切な判断を行うことが大切です。
医療に関する知識を身に付けることで、医療行為が必要な利用者様の状態にすぐに気付き、迅速な対応が可能になります。
自身で判断がつかないときは医師や看護師に相談し、適切な対応を心掛けることで正しいケアを実践していきましょう。
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白ゆり介護メディア編集部
いかに白ゆりの魅力を伝えるかを常日頃考えている介護メディア担当です。
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