介護のマメ知識
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【新人介護士向け】看取り介護の心構え|基礎知識や不安が和らぐ場面別対応

初めて看取りの場面に立ち会うとき、ナースコールが鳴るたびに「もしかして今かも」と緊張してしまったり、足がすくむような感覚になることがあります。
「自分に何ができるんだろう」「この対応で本当にいいのかな」と、迷うのは当たり前。
それだけ真剣に利用者様と向き合っている証拠でもあります。
看取り介護には、マニュアル通りの“正解”はありません。
むしろ、思った通りにいかないことの方が多いでしょう。
だからこそ、利用者様にとって何が安心につながるのかを考えながら、研修や経験を重ねる中で自分なりの関わり方を見つけていくことが大切になります。
この記事ではこれから新人介護士の方に向けて、看取り介護の基本的な考え方や心構え、不安を感じやすい場面での対応について詳しく解説します。
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目次
看取り介護とは?心構えの基礎となる知識
看取り介護とは、回復が難しい方に対して、無理な延命を行うのではなく、その人らしく穏やかに過ごせる時間を支えるケアです。
「特別なことをしなければいけない」と思われがちですが、実際はそうではありません。
食事や清潔ケア、声掛けなど、普段行っている関わりを、最後まで丁寧に続けていくことが中心です。
介護施設では、医師や看護師だけでなく、介護職や生活相談員など多職種の職員が連携しながら関わります。
一人で抱えるのではなく、チームで支えていくのが特徴です。
ターミナルケア・緩和ケアとの違い
似た言葉にターミナルケアや緩和ケアがありますが、それぞれ役割や視点が異なります。
・看取り介護
生活の場(施設・在宅)で、食事や清潔など日常生活の支援に加え、最期の時間をその人らしく過ごせるように支えるケアが中心
・ターミナルケア
人生の最終段階(終末期)に行われ、医療・介護の両面から苦痛を和らげ、その人らしい生活を支えるケア
日常生活の支援も行うが、看護師や医師による投薬や点滴など医療的処置による苦痛緩和が中心
・緩和ケア
病気の診断時から始まり、終末期に限らず、身体的・精神的な苦痛緩和をしながら、QOL(生活の質)を高めるケアが中心
現場では、「生活中心か医療中心か」の違いで考えるとイメージしやすいです。
新人介護士が看取りに向き合う際の4つの心構え
看取りに関わるとき、考え方の軸があると、気持ちが少し楽になります。
ここでは、新人介護士が知っておきたい4つの心構えについて解説します。
心構え①:看取り介護の本質を理解する
私たちはどうしても「元気になってほしい」と思ってしまいます。
しかし看取りでは「どうすれば穏やかに、幸せな最期をプロデュースできるか」に視点を移します。
「この施設で過ごせて良かった」と利用者様やご家族に思っていただけるよう、プランに基づき職員全員で一人の人生を締めくくるお手伝いをします。
心構え②:「知識」を不安を和らげる盾にする
死の怖さの正体は、何が起こるのか分からないことへの不安です。
あらかじめ、看取りの流れや身体の変化について以下のような知識を持っておくだけでも、落ち着いて対応しやすくなります。
・身体的変化の理解
下顎呼吸や死前喘鳴、手足の冷えなどは自然な経過です。
・プロセスの把握
看取り介護は、多くの場合、「入所期」「安定期」「不安定期」「終末期(死別期)」「看取り期」という段階を、緩やかに辿っていきます。
連絡の手順やエンゼルケアなどの業務フローを事前に研修等で確認しておくことで、「この時期に見られる変化だな」と落ち着いて判断できます。
※この内容については、後ほど詳しく解説します。
心構え③: 一人で抱え込まず「チーム」で向き合う
特に夜勤帯は職員の人数が少なくなるため不安になります。
「これくらいで連絡していいのかな」と迷うこともあると思いますが、看取りはチームケア。
迷った時点で先輩職員や看護師に相談しましょう。
・緊急時の連絡体制やオンコールの目安を事前に確認する
・看取りはチームケア、判断に迷ったらすぐ共有する
この意識が重要です。
また、日々のスタッフとの何気ない会話や小さな変化の記録も忘れずに行いましょう。
より良いケアにつながるだけでなく、ご家族にとっても大切な思い出になります。
看取りに関わった後、「もっとああすれば良かった」と後悔するのではなく、「自分が最期まで寄り添い、支えられた」という実感を大切にしましょう。
心構え④:ご家族の心に寄り添う覚悟をもつ
ご家族は、すぐに現実を受け入れられるとは限りません。
否認や怒り、受容など、様々なプロセスを辿ることがあります。
無理に言葉をかけようとするより、「お辛いですよね」とご家族の言葉にできない気持ちに寄り添う姿勢が必要です。
白ゆりでも、利用者様一人ひとりとの関わりを大切にしながら、安心して過ごしていただけるケアを心がけています。
実際に現場で働く職員が語る「利用者様一人ひとりと向き合う中で感じたやりがい」については、ぜひこちらのインタビューもご覧ください。
看取り介護の流れ、各時期における不安と解消法

看取りはゆっくり段階を経て進んでいきます。
それぞれの時期で利用者様の状態や、ご家族の気持ち、職員の関わり方も変わります。
ここからは、看取り介護の流れと、各時期に新人が感じやすい不安とその解消法について解説します。
入所期
利用者様が施設に入所し、新しい環境に少しずつ慣れていく時期です。
ケアプランの作成や施設の方針の説明が行われ、ご本人様やご家族の希望を丁寧に聞き取ります。
・どんな生活を送りたいか
・医療に対する希望
・どのような最期を迎えたいと考えているか
などを確認していきます。
不安と解消法
何気ない挨拶や会話の積み重ねが信頼関係を築きます。
また、ご家族の意向について「施設としての提案はご本人やご家族にとって一番良い選択なのか」と、精神的なプレッシャーを感じてしまうことも少なくありません。
利用者様の生活のリズムや好み、安心できる関わり方を知っていくことが、後の看取り介護にもつながっていきます。
ご本人やご家族の気持ちは、その時の体調や状況によって変わることもあるため、その都度記録しましょう。
安定期
施設での生活にも慣れ、利用者様の状態が落ち着き、生活リズムも整ってくる時期です。
厚生労働省の『人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン』でも、本人の意思は一度だけでなく、繰り返し確認していくことが大切だとされています。
この時期は信頼関係を築きながら、「その人らしい生活」を支えていく大切な時間になります。
参照:厚生労働省『人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン』(平成30年3月改訂)
不安と解消法
新人の方は、「まだ元気そうなのに、いつか亡くなってしまうんだ」と考えてしまい、死に不安を感じることがあります。
「自分にできるのだろうか」と、不安を感じますが、「看取り介護は、その人らしい幸せな最期をプロデュースする仕事」であると捉えてみてください。
前向きなやりがいや、介護士としての役割を見出しやすくなるでしょう。
また、看取りは、先輩や看護師に相談できる体制を整え、チームで支え合いながら関わっていきますので、分からないことや不安なことは、遠慮せず相談しましょう。
不安定期
体調の変化が目立ち始めます。
・食欲不振
・体重減少
・身体機能の低下
などが見られるようになります。
医師や看護師からご本人やご家族に対して回復が難しい状態であることの説明が行われ、予測される状況を共有する時期でもあります。
またこの時期には、意識がぼんやりしたり、会話がかみ合いにくくなったりなど、せん妄と呼ばれる症状が現れることがあります。
不安と解消法
長く関わってきた利用者様が弱っていく姿を見るのは、思っている以上に辛いものです。
「こんなに急に変わるんだ…」と戸惑うこともあります。
ただ、体の変化にはある程度の流れがありますので、
・手足が冷たくなる
・呼吸のリズムが変わる
など、看取りの時期にみられる変化について、あらかじめ知っておくことで、不安は軽減されます。
また、経験を重ねた職員から話を聞くことも、大きな支えになるでしょう。
終末期(死別期)
呼吸状態の変化(下顎呼吸など)や意識レベルの低下などが見られる時期です。
この段階では、
・苦痛を減らすケア(口腔ケアや体位変換など)
・ご家族との時間の確保(個室への移動などの環境整備)
が重要になります。
不安と解消法
特に夜勤帯は「何かあったらどうしよう」と怖くなってしまうこともあるかもしれませんが、まずは緊急時の対応をしっかり確認しておきましょう。
看護師や主治医への連絡手順、オンコールの目安など緊急時対応フローを事前に確認しておくことで、冷静な対応が可能になります。
「何かしてあげなきゃ」と焦ることがありますが、特別なことをするのではなく、そばにいること自体がケアにつながることがあります。
看取り後
医師による死亡確認の後は、エンゼルケアを行います。
最初は戸惑うこともありますが、「ありがとう」という気持ちを込めて関わることで、気持ちの整理にもつながります。
不安と解消法
ご遺体に触れる怖さは、誰でも最初は感じるものです。
「もっとできたのではないか」と自分を責め、精神的に落ち込んでしまう方も少なくありません。
エンゼルケアを「生前のその人らしさを整える最後の贈り物」と捉え直してみましょう。
介護職だからこそ、葬儀業者とは違い、その方らしい自然で穏やかな表情に整えることができます。
また、職員同士で「どんな関わりができたか」「印象に残っていること」などを話し合うグリーフシェア(振り返り・共有)も、自分のケアを前向きに受け止めるきっかけになるため必要です。
新人が迷いやすい場面での対応方法
看取り介護では、利用者様の体調の変化やご家族の気持ちの揺れなど、一人ひとり異なります。
ここでは、現場で新人の方が実際によく迷う場面を取り上げながら、「こんなときはどうすればいいの?」という視点で、日常のケアの延長としてできる関わり方や具体的な方法を分かりやすく解説していきます。
利用者様が死への不安や孤独を訴える時:精神的ケア
「怖い」「一人になるのが不安」といった気持ちを言葉にされる利用者様に対して、うまく励まそうとしなくて大丈夫です。
訪室回数を増やす、できるだけ一人の時間が長くならないようにするといったそばにいることから始めてみましょう。
言葉での会話が難しくなったとしても、そっと手を握る、優しく身体に触れるといったタクティールケアのような関わり方が、言葉に代わるコミュニケーションとして安心感につながることもあります。
言葉が出てこないときは、そばに座っているだけでも十分意味があります。
お気に入りの音楽を流したり、ご家族の写真を枕元に飾ったりして、在宅での生活に近い環境を整えてあげてください。
食欲が低下し、食べられなくなった時:食事・栄養ケア
「少しでも食べてほしい」と思ってしまいますが、身体の状態によっては、無理に食べてもらうことが、かえって利用者様ご本人の負担になる場合もあります。
現場では「一口だけでも」といった関わりをすることがあります。
しかし、本人の意思を尊重し、「食べたい時に食べられる分だけ」提供し、食べる量よりも、その人らしさを保つことを大切にします。
嚥下機能が弱くなってきた場合は、状態に合わせてとろみ剤やゼリーの活用や好みに合わせた工夫を行い、食事の楽しみを少しでも維持できるようにします。
また、食べられない状態でも、口腔内が乾燥すると、感染症のリスクが高くなります。
スポンジブラシなどで口腔内の保湿と清潔保持を心がけましょう。
身体的な苦痛や不快感がある時:身体的ケア
自分で体を動かせなくなると、痛みや褥瘡(床ずれ)の原因になるため、定期的に体位変換による除圧を行います。
「痛くないですか?」と声を掛けながら、安楽な姿勢にゆっくり整えていきます。
また、循環が悪くなり、手足が冷たくなっている場合は、足先を温めたり、手を包み込むようにさすったりして、苦痛を緩和します。
入浴が難しくなった場合でも、清拭や足浴、手浴、洗髪などを行うことで、利用者様が「気持ちいい」と感じられる時間をつくることができます。
体がきれいになるだけでなく、気持ちも落ち着き、安心して過ごしていただくことにつながります。
利用者様が「最期の願い」を口にした時:希望の実現
「中庭に出て外の空気を吸いたい」「一口だけお酒を飲みたい」
医師が「安静が望ましい」と医学的に難しいと判断した場合でも、チームで話し合うことで、完全には難しくても、可能な範囲で叶えられる方法が見つかるかもしれません。
例えば、遠出は難しくても車椅子で短時間だけ施設の中庭に出て外の空気を感じていただいたり、食事制限があっても好きだった食べ物をガーゼに含ませて味を少しだけ楽しんでいただいたりなどです。
利用者様の一番近くに寄り添う介護職だからこそ、利用者様の意向を汲み取り、医療チームに希望を伝える橋渡し役になれます。
また、ご家族にも協力していただくことで、より「その人らしい」豊かな時間になることがあります。
例えば「手作りのお菓子が食べたい」と話された場合。
ご家族に相談して作っていただくなど、ご家族もケアチームの一員として関わっていただくことで、「最期まで寄り添えた」という大切な思い出になるでしょう。
ご家族が現状を受け入れられず、混乱や怒りを示している時
「大丈夫」と安易に言ってしまうと、かえって不安を強くしてしまうことがあります。
「心配ですよね」と、ご家族の気持ちを言葉にして寄り添う関わりを積み重ねることで、少しずつ深い信頼関係築く大切な一歩になります。
自分自身の接し方や言葉遣い、身だしなみを客観的に振り返る自己覚知を行い、ご家族の張り詰めた心が少しでも和らぐような、穏やかで、温度を感じるコミュニケーションを心がけましょう。
また、利用者様の状態変化など小さなことでもこまめに情報共有することで、ご家族の安心感につながります。
夜勤中に急変の兆候を感じた時:緊急時対応
夜勤中に一番迷いやすいのが、このようなケースです。
・呼吸がいつもと違う
・反応が鈍い
・発熱している
・尿が出ていない
「様子を見るべきか、連絡するべきか」
結論としては、迷ったら早めに相談、連絡をしましょう。
バイタルサインだけでなく、呼吸の変化や意識レベルを観察し、少しでも違和感があったら一人で判断せず、看護師や先輩への報告を徹底しましょう。
お亡くなりになった直後とその後:看取り後・グリーフケア
生前の元気だった頃を知っている私たちが、「その人らしさ」を取り戻してあげるための、最後のケアです。
「お疲れ様でした」「ありがとうございました」
そう声を掛けながらお顔を整えるエンゼルケアは、介護職自身の心の安堵にもつながるとされています。
また、ご家族と日々のエピソードや写真などを共有することで、死を受け入れる過程(グリーフケア)の支えになります。
こうした経験は、自身の成長にもつながり、今後のキャリアや転職を考える際にも、「どのようなケアを大切にしたいか」を見つめ直すきっかけになるでしょう。
看取り後の介護職自身のケア|グリーフケアの重要性

看取り介護を長く続けていくには、利用者様のご家族だけでなく、介護職自身のグリーフケア(悲嘆ケア)も欠かせません。
「自分も一生懸命に向き合った」と自らを認め、自分の心も丁寧にケアしていく姿勢が求められます。
ここからは、介護職にとってグリーフケアの重要性とケア方法について分かりやすく紹介します。
なぜ介護職にグリーフケアが重要なのか
グリーフケアとは、大切な人を亡くし大きな悲嘆(グリーフ)を抱えているご家族などを支援することを指します。
長年寄り添ってきた利用者様の看取りの後、
「もっとできたことがあったかもしれない」
「あの対応でよかったのか」
と考えてしまうことは少なくありません。
グリーフケアはご家族のためだけのものではなく、介護職員自身にとっても大切なものだと考えられています。
一人で抱え込みすぎるとバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥ることもあるため、適切なグリーフケアを受けることで、心の健康を守ることができます。
自分の気持ちを客観的に見つめ直し、感情と向き合うことは、次の看取りに向けた心の準備にもなるでしょう。
介護職の具体的なグリーフケアの方法
悲しい気持ちを同僚と共有する「グリーフシェア」を大切にしてください。
職員同士で生前の利用者様の様子や思い出を話し合ったり、悲しみや寂しさを話したりするだけでも、気持ちは楽になります。
さらに、エンゼルケアも大切な関わりの一つです。
生前のその人らしさを知っている介護職が、心を込めて最後のケアを行うことは、ご家族のためだけでなく、自分自身の気持ちの整理にもつながります。
「できることは精一杯できた」と感じられることで、安堵感を得られるでしょう。
そして、ケアの内容や利用者様とのエピソードを詳細に記録しておくことで「こういう関わりができていたんだ」と振り返ることができ、達成感や次の看取り介護への指針にもつながっていきます。
次の看取りに向けた心の準備
「完璧な看取り」は誰にもできません。
それよりも、
最後まで関われたこと
声を掛け続けたこと
「できなかったこと」より「できたこと」に目を向けることで、一つひとつの関わりが自信として積み重なっていきます。
人の最期に関わる仕事は、プロであっても心に大きな負担がかかるものです。
どうしても辛い時は担当を外れるなど、自分の心を守ることも、専門職として大切な役割です。
介護の仕事を長く続けていくためには、日々のセルフケアが欠かせません。
疲れたときはしっかり休む、辛いときは誰かに話すなど、無理をしすぎないことが大切です。
介護施設によっては個別面談やメンタルケアの専門家によるサポート体制が整っている場合もあるため活用しましょう。
まとめ
人は誰でも最期の時間を迎えます。
その時間がどんなものになるかは、私たちの関わり方によって少し変わることがあります。
何度看取りを経験しても、「これでよかったのか」と振り返る時間は、きっとなくならないかもしれません。
それでも、数年後にご家族から「あのとき支えてもらえて、本当に安心しました」と声を掛けていただけることがあります。
そして中には、「また家族の介護をお願いしたい」と連絡をくださる方もいます。
その言葉に、「ああ、間違っていなかったんだな」と、感じられる瞬間があります。
特別なことをしているわけではありません。
ただ、そばにいて、声を掛けて、手を握る。
そうした日々の積み重ねが、その人らしい最期の時間を支える要素となります。
迷いながら、泣きながら向き合うことも決して特別なことではありません。
チームで支え合いながら、少しずつ、自分なりの関わり方を見つけていきましょう。
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白ゆり介護メディア編集部
いかに白ゆりの魅力を伝えるかを常日頃考えている介護メディア担当です。
白ゆりの魅力と一緒に、介護職の皆さんのプラスになる知識やお悩みの解決につながる情報も発信しています。